- 2023/03/31
- 2024/04/11
VRとメタバースの違いは?それぞれの特徴や違いを解説
私たちの生活の中でVRやメタバースといった言葉を耳にする機会が増えました。
それは5Gなどの通信環境の向上により、通信量の大きいこれらのサービスへの接続が容易になっていることや、コロナ禍により非対面のコミュニケーションツールの需要が増したことが理由として挙げられます。
ですが、まだまだ耳馴染みのないVRとメタバース。「違いがよくわからない」「VRゴーグルは必要なの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、VRとメタバースの違いをご紹介します。
違いや共通点、ビジネスでの活用事例を通して理解を深めていただけると嬉しいです。
目次
1.VRとメタバースの違い
VRとメタバースの違いを簡単に説明すると、VRは「仮想空間に入り込んだような体験ができる技術」のこと。対して、メタバースは「インターネット上に存在する仮想世界」です。
この二つのワードはよく並列されるため「メタバースという仮想空間」「VRという仮想空間」と分けて考えられがちですが「VR技術を使って、メタバースという仮想空間を体験することもできる」という認識が正しいです。
1-1.VR(バーチャル・リアリティ)とは
VR(Virtual Reality/バーチャル・リアリティ) は日本語で「仮想現実」と訳されます。
360°映像を通じて、現実世界とは別の世界に入り込んだような体験ができ、CGで作られた世界はもちろん、360°カメラで撮影した現実の空間を別の場所にいながら見ることもできます。
1-2.メタバースとは
メタバースは「メタ(meta)=超越した」と「ユニバース(universe)=世界」の2語を合わせた造語です。
インターネット上で3DCGの技術を使って仮想空間を構築し、アバターを通じて人と人が繋がり、活動を行う場をメタバースと言います。
インターネット上の空間でコミュニケーションを取ったり、移動ができる強みを活かし、旅行や会議を行うことはもちろん、メタバース上に広告を出したり、商品を売買したりと幅広いビジネスで広がっていく可能性を秘めており、今、注目されているテーマです。
▶︎▶︎関連記事:注目のメタバースとは?仕組みやメリットなどやさしく解説
2.VRとメタバースの異なるポイント
それぞれの特徴を知った上で、VRとメタバースの異なる点を詳しく見ていきましょう。
2-1.VRゴーグルの有無
まず大きな違いが、VRゴーグルが必要か・そうでないかです。
VRは基本的に、VRゴーグル(VRヘッドセット、ヘッド・マウント・ディスプレイ)という目元を覆うデバイスを使います。
これによってその場にいるかのような没入感を得ることができるのです。
対して、メタバースはインターネット上でアバターを介して活動できる仮想空間なので、必ずしもVRゴーグルを必要としません。パソコンやスマートフォンからのアクセスだとしても、メタバースだということに変わりはないです。
「メタバースの中に入り込んだような体験がしたい」という場合は、VRゴーグルを使う必要があるでしょう。
2-2.コミュニケーションの有無
もう一つの違いが、コミュニケーションの有無です。
VRのコンテンツは、基本的に個人で体験するもの。VR映画を鑑賞したり、VRゲームをしたり、これらは単独で体験するものです。
一方で、メタバースは複数人でのコミュニケーションを前提とします。アバターという自分の分身を操作しながら、他のアバターとコミュニケーションを取ります。
例えば、ソーシャルVRプラットフォームとして人気の「VRChat」は、サービス名にVRとついているのでVRなのかメタバースなのか迷ってしまいますが、コミュニケーションを主としたサービスなので、VR機能を持ち合わせたメタバースと位置付けられます。
3.VRとメタバースの共通点
VRとメタバースには共通点もあります。
3-1.現実では体験できないこともできる
VRもメタバースも現実では体験できないことを疑似体験できるのが特徴です。
例えばVRを活用して、鳥の視点のような上空からの様子を見てみたり、事故や危険な現場なども再現できるので、安全教育の場面で生かす事例もあります。
メタバースでは観光地を忠実に再現しながら、上空に魚や動物たちを飛ばしたり、アバターの手からシャボン玉が出る仕組みなどを作ることが可能です。
現実ではできないことも表現できるのが、メタバースとVRの共通点であり強みとも言えるでしょう。
3-2.没入感を得られる
VRとメタバース、どちらもその世界に入り込んだような感覚を得られるのが共通点です。
VRではVRゴーグルを装着すると、人間の視差を利用して左右に微妙に異なる映像が映し出されます。これが立体視と呼ばれる目の構造と似た作りになっており、あたかもそこにいるような感覚で映像を目の前にすることができます。
また、メタバースもアバターの目線で他のユーザーと交流でき、サービスによっては口の動きや手足の動きまで再現しているので、まるでそこにいるかのように過ごすことができるのです。
3-3.ビジネス利用が広がっている
メタバースとVRは、これまで対個人向けのサービスが中心でしたが、コロナ禍でビジネスでの活用事例が急増しました。
どこからでもアクセスできる利便性と、非対面で体験・コミュニケーションが取れるという強みが、新型コロナウイルス感染拡大で懸念される密集・密接を伴わないことから、急速に浸透したと考えられます。
4.VRのビジネス活用事例5選
ここからはVRとメタバースの活用事例を紹介します。まずはVRから見ていきましょう。
- 小千谷市 VR観光プロモーション
- イオンリテール株式会社 VR研修
- 長岡高専VRキャンパスツアー
- 凸版印刷株式会社 巻き込まれ体感機 for VR
- アサヒビール VR工場見学
4-1.小千谷市 VR観光プロモーション
新潟県小千谷市のリアルな魅力を、国内外の幅広い層に向けて訴求する目的で観光PR用のVR360°映像が公式YouTubeチャンネルに公開されています。
圧巻の上空映像や街並みを歩く様子、スピード感のあるウィンターレジャーなど様々な角度から小千谷の冬を体感できます。
イベントでVRヘッドセットを用意して参加者の皆さんに体験してもらったり、簡易VRゴーグルを配布してノベルティとして自宅でも楽しめるようになっていたりと様々な形で発信しています。
4-2.イオンリテール株式会社 VR研修
イオンリテール株式会社は国内小売業としては初めて、全店舗にてVR従業員教育を導入しました。
これまでは動画で行なっていた研修をVRにすることで、実務のトレーニングとして従業員の教育機会拡大と習得レベルの標準化に繋げています。
「わかる」だけでなく「できる」ようになるための実習を行い、教育担当者の負担も減らしながら従業員のサービス力向上を目指しています。
▶︎▶︎参考:イオンリテール株式会社 プレスリリース
4-3.長岡高専VRキャンパスツアー
VR映像を使って、授業・研究室、学生たちの取り組みや日常生活を紹介しているバーチャル・キャンパスツアーです。
進学を検討する中学生はもちろん、地域の方々にも学校について理解を深めてもらおうという目的で、動画ではなくVR360°映像で学校内を紹介しています。
まるでその場で案内をしてもらっているような感覚を味わえるのと同時に、VR映像内に動画も埋め込むなどの、バーチャルだからこそ実現できる表現も加えられています。
4-4.凸版印刷株式会社 巻き込まれ体感機 for VR
印刷会社「凸版印刷株式会社」では「巻き込まれ体感機 for VR」を開発・導入しました。
従業員の安全意識向上が目的で、機械に巻き込まれた場合の体験ができます。
特徴的なのは、VR映像を見るだけでなく、研修用機械で巻き込まれた際の感覚を体感できること。
事故の重篤度と安全作業の大切さを学べます。
4-5.アサヒビール VR工場見学
日本の大手ビールメーカーである「アサヒビール株式会社」のVR工場見学です。動画は実写とCGを合わせながら、ビールができるまでの製造工程をビール目線で体験することができます。
ガイドの案内を聞きながら、ビール作りをあらゆる角度から見学することで、見終わる頃には商品への愛着が増していることでしょう。
ビール目線での見学は、VRを使ったバーチャル工場見学ならではの特徴と言えます。
5.メタバースのビジネス活用事例5選
メタバースはどのように活用されているのかも見ていきましょう。
- バーチャル渋谷
- GUCCI TOWN
- MusicVket
- オムロン
- 東京都足立区
5-1.バーチャル渋谷
渋谷区とKDDI株式会社がバーチャルイベントプラットフォーム「cluster」上で公開している「バーチャル渋谷」。
まるで本物のような渋谷の街並みがバーチャル上に誕生しています。2021年10月に開催したハロウィーンイベントでは、世界中から延べ55万人が参加。
密集するイベントの実施が困難となるコロナ禍で、参加者はアバターを介して好きなハロウィーンコスチュームに身を包み、ライブやイベントを楽しみました。
このように、交流を重視したいイベントにメタバースはおすすめです。
5-2.GUCCI TOWN
イタリア発のファッションブランド「GUCCI(グッチ)」は、メタバースプラットフォーム「Roblox」にデジタルスペース「GUICCI TOWN」を公開しています。
GUCCIデザイナーのアレッサンドロ・ミケーレ氏のクリエイティブビジョンがある他、ミニゲームやアートの展示など同ブランドの世界観を堪能できる空間です。
またこの空間では世界中の同じ志向を持つ人々とアバターで繋がることもできます。
アバター同士で交流したり、GUCCIのデジタルアイテムを購入したりと様々な楽しみ方を提案しています。
5-3.MusicVket
株式会社HIKKYが企画・運営するメタバースを活用した総合音楽イベントの事例です。VRヘッドセットでもスマホからでも参加ができ、アバターを通して好きなアーティストのライブを鑑賞します。
音楽クリエイターによる楽曲の展示即売会では、その場で音楽データをダウンロードしたり、CDを購入することも。
国内だけでなく、海外のアーティストも来日せずともメタバース内で一緒にライブができます。
5-4.オムロン

オムロンはメタバースプラットフォーム「cluster」上で、バーチャル展示会ブースを常時公開しています。
近未来的な空間の中では、オムロンの長期ビジョン「Shaping the Future 2030」や主要事業が動画で紹介されていたり、同社が開発した卓球ロボット「フォルフェウス」とのラリー体験ができたりと、様々なコンテンツが用意されています。
企業のカルチャーやサービスを体験しながら学ぶことができるメタバースは、お客様向けとしてはもちろん、採用向けコンテンツとしても活用できるでしょう。
5-5.東京都足立区

東京都足立区とNTT東日本は、区内の中学生を対象にメタバース空間を使った防災訓練を実施。
街を再現したワールドに入り、アバターを操作して防災に関する動画の視聴や、消防署職員に質問をするなどして防災意識を高めました。
この合同訓練は、コロナ禍でも集合形式で実施できる新たな訓練のスタイルとして、タブレットを使って実施されました。謎解きやクイズを織り交ぜることで、生徒一人ひとりが主体的に学べる仕組みが作られています。
6.まとめ
VRとメタバースは掛け合わせができるため混合しがちですが、メタバースには必ずしもVRの技術が必要というわけではなく、別のものだということをご理解いただけたかと思います。
今後も新たなプラットフォームやサービスの登場と共に、さらに面白い事例が増えていくことでしょう。
自社でメタバースやVRの導入を検討する際には、目的を明確化して「どうするとユーザーにとって魅力的な体験となるか」を重視することをおすすめします。
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