- 2023/01/24
- 2024/04/11
【AR×ライブ】演出の可能性を広げる新感覚ライブ。最新事例5選
近年は音楽ライブにもテクノロジーの波が押し寄せており、プロジェクションマッピングを使った舞台演出や、曲によって色の変化を楽しめる無線通信ペンライトなど、演出の可能性は広がりを見せています。
そんな中で、注目を集めつつあるのがAR技術を取り入れたライブパフォーマンス。デジタル上の物体やアバター、演出・効果などを現実空間に表現できるとして、国内でも活用の兆しが見えつつあります。
当記事では、ARを取り入れたライブについて、その活用方法やメリット、そして実際の事例までをご紹介していきます。
目次
1.ARとは
ARは「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と訳します。ARはスマートフォンやタブレット、スマートグラスなどを通じて、現実世界の映像にCGなどで作るデジタル情報を加えるもの。つまり、現実世界を拡張し、デジタルと融合させる技術のことです。
スマートフォンをはじめとしたモバイルデバイスが進化し、GPSやカメラを利用した高度な情報処理が可能になったことから発展した技術だといえます。
例えば、アーティストがパフォーマンスをするステージにスマートフォンをかざすと、背景に美しい映像や歌詞が表示されるなど、デバイスを通して見えなかったものが見えるというイメージです。
2.ARをライブで活用する方法
ARの仕組みを知った上で、どのようにライブと組み合わせられるのか、どんな風に使えるのかを見ていきましょう。ここでは、AR×ライブの2通りの組み合わせ方をご紹介します。
2-1.来場者にARライブを体験してもらう方法
一つ目は、会場に来てくれたお客様にライブの演出としてAR体験を届ける方法です。
現実とデジタルを融合する強みを活かし、実在するアーティストのライブの動きに合わせてデジタル演出を加えることができます。また、開演前の誰もいないステージにデバイスをかざすことで、リハーサル風景をARで表現することも可能。フォトスポットを作って、そこに立つことでアーティストと2ショットの記念撮影が撮れるという企画もできます。
活用の幅は様々ですが、来場者にのみ楽しんでもらえる演出として、ライブ参加への付加価値を高めることができるでしょう。
2-2.オンラインでARライブを配信する方法
もう一つは、オンラインでARライブを配信する方法です。
ユーザーは自身のスマートフォンにARアプリやARサービスをインストールし、好きな場所にかざすだけでアーティストがその場でパフォーマンスをしているような映像体験が味わえます。
通信環境さえあればどこにいてもライブに参加してもらえるので、距離や時間の理由でライブを諦めてしまう人にも訴求できるのが魅力です。
また、参加者側が自分の部屋やキャンプ場など、好きなところに演者のステージを設定できるため、参加者が自由なスタイルでライブを楽しむことができるでしょう。
3.ARをライブで活用するメリット
では実際に、ARライブを開催することはどんなメリットにつながるのかをご紹介します。
- 参加者に新たな感動体験を届けられる
- 特別な機器がなくても体験してもらえる
- いつどこにいても楽しんでもらえる
3-1.参加者に新たな感動体験を届けられる
ファンの心を動かすような感動体験は、非日常を感じるライブをさらに印象的なものにします。ARを使ったライブは、私たちが目にしたことのないような世界観を届けることができ、演出の幅が広がります。
新規性のあるパフォーマンスそのものが、アーティストの魅力をより感じられるワンシーンになり得るでしょう。
3-2.特別な機器がなくても体験してもらえる
ARは、スマートフォンで体験できるので、特別な機器を必要としません。(※演出の表現方法によっては、参加者側に専用機器を使っていただく場合があります)
VRの場合はVRヘッドセットやVRゴーグルが必要ですが、ARはより気軽に体験いただけるものです。
参加側のハードルを下げることで、多くの方に楽しんでもらえるでしょう。
3-3.いつどこにいても楽しんでもらえる
上記で紹介した「2-2.オンラインでARライブを配信する方法」であれば、場所を問わず楽しんでもらえるライブコンテンツになります。
部屋にいる自分の目の前にアーティストが登場したり、本物のライブ会場にバーチャルアーティストが出てくるなど、通常の映像配信とは異なる臨場感のあるライブパフォーマンスが届けられます。
4.AR×ライブの活用事例5選
最後に、AR×ライブの最新事例をご紹介します。国内外の人気アーティストから、リアルなライブ会場でパフォーマンスをするVTuberまで、様々な事例を集めました。
- いきものがかり
- にじさんじ
- KAGI NIGHT 2022
- マドンナ
- GLAY
4-1.いきものがかり
人気バンド「いきものがかり」は、2020年にソニーストアでARライブを体験できるイベント「いきものがかり「WHO?」Special Experience in Sony Store」を開催。
店頭に置かれたXperia™️を操作することで、スマートフォン越しにいきものがかりのライブが始まります。
360°色々な角度からパフォーマンスを見ることができるので、ファンにとってはたまらない体験になるでしょう。
いきものがかり、新しいAR技術面白い👍😃 #いきものがかり #ソニーストア #AR #いきものがかり_WHO_ソニーストア pic.twitter.com/fXJreg5SIS
— bluesyasとし、ブルース (@bluesyas) March 28, 2021
4-2.にじさんじ
Vtuberグループのにじさんじは、2021年にARを使った生配信を行いました。
舞台とバンドは現実空間に存在しており、そこでバーチャルキャラクターであるメンバーがパフォーマンスするという演出。まさにリアルとデジタルの融合を表現したライブパフォーマンスです。
にじさんじは、AR機能がついたグッズもあり、専用アプリで読み込むとメンバーが動き出すユニークなビジュアルボードなども販売しています。
【#SMC組3周年 受注販売中のグッズ紹介!】
— にじさんじ公式🌈🕒 (@nijisanji_app) July 17, 2022
「アクリルジオラマスタンド」のAR動画をチラ見せ公開!
STYLYアプリを使用することで、SMC組が飛び出して動きます!
■受注販売期間
~ 7月21日(木)23:59まで
商品ページはこちら!▼https://t.co/gP3qzXqCUk#にじストア pic.twitter.com/llm70aRrdD
4-3.KAGI NIGHT 2022
リアルとバーチャルの会場で同時開催した音楽ライブ「KAGI NIGHT 2022」。このイベントでは、実際のライブ会場でARアーティストと生バンドのセッションが行われました。
そしてリアル会場ではichigoさんARと生バンドの同時演奏!
— 鍵山喬一 Kyoichi KAGIYAMA (@KAGI920) July 6, 2022
なおリアル会場特典にて、今回のARパフォーマンスがいつでもどこでも観れるQRコードがついたカギナイト2022オリジナルカードをプレゼント!
今回出演のichigoさん、茉莉奈さん、鍵山喬一&江草一平さんのボリュメトリック演奏が観れます! pic.twitter.com/wJPexZ83e6
リアル会場の特典には、ARパフォーマンスがいつでも観られるQRコードがついたオリジナルカードがプレゼントされたそう。
オンラインでどこからでも参加できるという気軽さも兼ねつつ、リアル会場に行った際には別の楽しみ方ができるというハイブリッドな音楽ライブは、ニュースタンダードになり得る可能性を秘めています。
4-4.マドンナ
2019年にラスベガスで開催された「ビルボード・ミュージック・アワード(BBMAs)」の授賞式にて、世界的アーティストのマドンナがARを活用したライブを行いました。
全く違う衣装をまとった4体の分身(アバター)とパフォーマンスし、曲の世界観を演出。
デジタルで作られた雨や雲なども、全体のストーリーを届ける効果的な演出になりました。
アーティストが自分自身とパフォーマンスを行うというのは、デジタルの技術があってこそ叶うもの。
新しいライブ演出の形として、ビッグステージで大きな印象を残した事例です。
4-5.GLAY
最後は音楽ライブと絡めた、少し違った切り口のAR活用事例です。
ヴィジュアル系ロックバンドの「GLAY」は2018年に地元・函館で開催された大型野外ライブに合わせて、ARを活用した企画「GLAY NAVIGATION(略称:グレナビ)」を行いました。
企画内容は、函館市内のメンバーにゆかりのある19のスポットを訪れるとAR機能を使ってスマホにプッシュ通知が届き、そこでしか聞けないメンバーのコメントが再生されるというもの。
道外からも多くの来場者を集めるライブだからこそ、地元の魅力や、メンバーの個性を知ることができる企画はファンが楽しめるものになるはずです。
イベント開催期間中は、該当地点19スポットの人流は112%に増加したという結果も出ています。
まとめ
AR×ライブは、
- 現地で楽しむライブに付加価値をつける
- 遠隔でどこからでも気軽にライブを見られる
という二つの活用方法があるということを知っていただけたことでしょう。
今後も音楽シーンに革命を起こすような、 ARライブの事例が登場してくるかもしれません。
これらの事例を参考に、ぜひ新たな演出方法の一つとしてARを使ってみてはいかがでしょうか。
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