- 2023/03/24
- 2024/04/11
【AR×建設】建設業界でARを活用する方法や事例を紹介
VR/ARなどの最新技術は、エンタメ関連だけでなくビジネスシーンでも活用できるとして、様々な業界で事例が増えています。
今回は建設業界でARを活用するメリットや活用方法、そして実際の導入事例をご紹介します。
目次
1.ARとは

ARは「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と訳します。ARはスマートフォンやタブレット、スマートグラスなどを通じて、現実世界の映像にデジタル情報を加えるもの。つまり、デジタル情報を組み合わせることで、現実世界を拡張する技術のことです。
スマートフォンやARグラスをはじめとしたデバイスが進化し、GPSやカメラを利用した高度な情報処理が可能になったことから発展した技術だといえます。
ARが実現する仕組みは「ロケーション(位置情報)ベース」「ビジョン(画像)ベース」の2種類に分かれます。
1-1.ロケーション(位置情報)ベース
デバイスに搭載されているGPSや磁気センサー、加速度センサーから情報を認識し、デジタルコンテンツを表示させる方法です。
AR技術を使った代表的なゲーム「Pokémon GO」で、街中の特定の場所に行くとキャラクターを発見できるのは、この機能を使っているからです。
1-2.ビジョン(画像)ベース
画像や物体、空間の情報を認識して、デジタルコンテンツを表示させるARです。教育分野では、こちらの仕組みを活用することの方が多いでしょう。
ビジョンベースはさらに2種類に分けられ、目印を認識するARが「マーカー型」、空間や物体そのものを認識するARが「マーカーレス型」です。
マーカー型 | マーカーレス型 |
マーカー(目印)となる図形や画像を読み取ると、デジタルコンテンツが表示されます。マーカーさえ用意できれば、好きな場所に表示できるのがメリット。 | 空間や物体の情報を認識して、特定の物体・景色・施設などにデジタルコンテンツを表示させます。空間や物体を読み込む計算が必要であるため、マーカー型より高度な技術が必要。 |
2.建設業界にARを活用するメリット
建設業界にARを活用するメリットには以下のようなものがあります。
- 設計や施工の効率化が図れる
- 安全対策の向上
- 顧客への説明・提案の改善
- メンテナンスの効率化
2-1.設計や施工の効率化が図れる
ARを使うことで建物や施設の設計・施工において、実際の建設現場や設備にデジタル情報を重ねながら、次の工程や完成形などを確認することができます。
これにより、確認時間の短縮や作業員同士の認識共有がスムーズになり、業務の効率化が図れ、コスト削減や工期の短縮につながります。
2-1.安全対策の向上
建設現場には高所をはじめとした危険を伴う場所もあり、安全対策が非常に重要です。
ARを使うことで、危険箇所や安全対策について可視化することができます。訓練や研修にも活用できるため、安全意識を高めることにもつながるでしょう。
まずはARで危険箇所に対する理解を深めてから、実際の現場へ移るというステップを踏んだ研修が可能 になります。
2-1.顧客への説明・提案の改善
ARを使うことで、建物や施設のイメージを立体的に見せることが可能です。
これにより、顧客に対して視覚的に、分かりやすい説明や提案ができるようになり、納得度や満足度の向上につながります。
2-1.メンテナンスの効率化
ARを使うことで、建物のメンテナンスを効率的に行うことができます。
現場設備を映しながら、点検箇所を確認していくことができるため、手順や部位の確認が容易になります。
3.建設業界におけるARの活用法
建設業界におけるARの活用法をご紹介します。
- お客様とのイメージの共有
- 設計・現場の確認
- 研修・教育に活用
4-1.お客様とのイメージの共有
建設業界では、建ててから「イメージと違った」となってしまっては問題が生じるため、事前に完成イメージを丁寧に共有することが大切です。
このイメージのズレを解消するために活用されているのがARです。
写真や動画で共有するのではなく、ARを使えば現実の土地に完成予定の建物のデジタルデータを重ね合わせることができるので、イメージがしやすく、完成後のギャップも解消します。
4-2.設計・現場の確認
「イメージのズレ」というのは、お客様との間にだけあるものではありません。
共に作業をする従業員間にもイメージのズレというのは生じてしまいがちです。経験によっても理解度・認識が異なり、言葉の受け取り方も人によって様々。これがイメージのズレに繋がります。
イメージのズレは、連携作業の多い建設業界では大きなリスクとなります。そこで活用されるのがAR。
ARで完成後を立体的にイメージしたり、工程を可視化することで共通認識を持つことができ、スムーズに業務が進められるでしょう。
4-3.研修・教育に活用
ARコンテンツは、現実世界の映像にデジタル情報を重ねられるため、作業に取り組みながら次の工程を見たり、重要ポイントを確認したりすることができます。
ARグラスを活用すれば、作業で両手が塞がっている状態でも利用でき、指導者がいなくても、研修・教育コンテンツとして活用できます。
手を動かしながら重要なポイントを確認できるので、上達を早める・失敗を減らすなどの効果も期待できるでしょう。
4.建設業界のAR活用事例
ここからは、AR×建設の事例を紹介します。ARが実際どのように活用されているのか見ていきましょう。
- 大林組
- 清水建設
- 鹿島建設
- 三井住友建設
4-1.大林組

大林組は、盛土や掘削土の土量計測や横断測量ができるアプリ「スマホdeサーベイ® AR版」をリリース。現場にiPhoneやiPadを持参し、計測範囲を指定するだけで誰でも簡単に測量ができます。
人の手で測っていた部分をARですぐに確認できるため、土木・建設工事の測量業務を大幅に省力化できます。
▶︎▶︎大林組 公式情報はこちら
4-2.清水建設

清水建設は、建物のBIMデータと現実の映像をAR技術で重ね合わせ、施行中の設備配管や建物躯体の施工管理を支援するITシステム「Shimz AR Eye」を開発。
このシステムを使えば、仕上げ材料で隠れてしまっている設備配管を3DCGデータで確認したり、次工程の施工計画を映し出して、情報共有したりすることができます。
施工管理の情報共有や意思決定がスムーズとなり、業務効率化が進められます。
4-3.鹿島建設

鹿島建設は、「鹿島の工事現場をのぞけるAR」を公開中。建設中の工事現場を囲んでいる壁(仮囲い)にあるARマーカーにスマートフォンのカメラをかざすと、画面上で囲いに穴が開き、壁の向こう側の様子を見ることができます。
スクリーンショット機能を使って、表示されている壁の穴の隣に立って記念写真を撮ることも可能。
小さな子どもにも建設業界の仕事の面白さを知ってもらえるように、コンテンツを用意しています。
▶︎▶︎鹿島の工事現場をのぞけるAR 紹介ページはこちら
4-4.三井住友建設
三井住友建設では、コンクリートの天端仕上げ時に、より平滑な仕上げ面を作るためにAR技術を活用しています。
実際のコンクリート面の映像に仕上げ図を重ねることで、ひと目で両方の状態を比較できるようになり、修正作業の指示がスムーズになります。
▶︎▶︎三井住友建設 AR表面仕上げ管理システムページはこちら
5.まとめ
ARは業務効率化や安全対策、情報共有の改善など建設業界の様々な課題解決に貢献します。
VRtipsを運営しているリプロネクストでは、建設会社のAR/VRやメタバース活用について企画から開発までサポートしています。
「こんな課題に役立つだろうか」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。