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  • 2022/07/26
  • 2024/04/11

安全教育のVR最新事例10選【危険・災害を疑似体験で学ぶ】

企業・組織にとって、従業員の安全確保は重要な責務であり、危険を伴うような業種では労働災害の防止を目的に、研修や訓練を実施しています。

このような安全教育のシーンで、今VRの技術が注目されているのはご存じですか?

VRを活用することで、実施時の安全性は確保しつつもリアルな”体験”として研修を実施でき、受講者は学ぶのではなく、体験に近い感覚で危機管理能力を高められるのです。


当記事では、VRを活用した安全教育の導入メリット・デメリット、どんなことができるのかや最新事例を紹介します。

後半には、具体的なコンテンツ制作の流れもお伝えしているので、安全教育の実施についてVRの活用をお考えの方はぜひ参考にしてください。

1.VRを活用した安全教育とは

VRを活用した安全教育とは、危険を伴う現場をVRで疑似体験してもらい、従業員の安全意識・危機管理能力を高める教育です。

動画や資料で学んでいた危険なシチュエーションをVRで再現することで、体験者は当事者意識と臨場感をもって研修を受けることができます。主に建設業や製造業を中心に活用が進められています。

2.安全教育にVRを活用する3つのメリット

続いて、安全教育にVRを活用するメリットをご紹介します。

1.実践に近い訓練ができる

2.時間・場所問わず体験ができる

3.危機管理意識が高まる

2-1.実践に近い訓練ができる

火災や地震、落下物などの危険を伴う事故は、事前に体験することはできません。そのため、これまでは座学だったり、動画を見るなどの受動的な学びがほとんどでした。

VRを活用すれば火災や事故なども映像で再現することができ、現実に近い感覚を安全に体験できます。知識としての理解ではなく、体感ができるのです。

2-2.時間・場所問わず体験ができる

対面の研修とは異なり、VRを活用することでいつ・どこでも安全教育を受けることができます。

スケジュールを合わせ、合同で行う必要がなくなり結果的に会場費・人件費等の様々なコストも削減できるでしょう。

また、VRの活用で研修を分散することで業務を止めることなく進められ、24時間365日使える研修ツールになります。

2-3.危機管理意識が高まる

通常の動画とは異なり、VR技術を使った映像は受講者の動きに合わせて360度動くので、危険を感じた際の反応や見え方をリアルに体験することができます。

臨場感のある研修を受けることで危険に対しての認識が深まり、危機管理意識の向上に繋がります。

3.安全教育にVRを活用する2つのデメリット

メリットがある一方で、まだまだVRの活用には課題もあります。

1.撮影・制作に高度な技術が必要

2.VR酔いの可能性がある

3-1.撮影・制作に高度な技術が必要

VR安全教育を制作するには、高度な撮影・編集技術が必要です。教育コンテンツであるからこそ、導入後の実用性も重視されます。

どういった構成で作るのか、危険な現場を再現するならCGを使うのかなど、専門のサービスを扱う会社に相談するのがベストでしょう。

3-2.VR酔いの可能性がある

VRゴーグルを着用した場合、映像を立体的に見せる視差の影響で、乗り物酔いのような症状が起こることがあります。

この症状は個人差があるのですが、人によっては体験時に不快感を味わうことも。コンテンツは長すぎないよう調整したり、休憩を挟むなど対策を考える必要があります。

また臨場感は減ってしまいますが、VRゴーグルを使用せずに、パソコンやスマートフォン画面の操作で行うVR安全教育もあります。

4.安全教育×VRのコンテンツの種類

VR技術を活用した安全教育コンテンツは、大きく分けて二つの表現方法があります。それぞれの特徴を知ってから、事例を見ていきましょう。

4-1.実写VRコンテンツ

実写VRコンテンツは、360度撮影可能なカメラで実際の現場を撮影して作るタイプです。

本物の現場なので、よりリアリティのある映像で疑似体験することができます。

一方で、火災現場や事故などを再現することは困難といえます。

4-2.CGVRコンテンツ

CGVRコンテンツは、3DCG技術を使って、完全デジタルの現場を再現するタイプです。

こちらは架空の映像なので、火災や事故などの様子を表現することも可能です。

制作には高度な技術を必要とするので、実写VRコンテンツよりも導入費用が高額になります。

5.安全教育×VRの最新事例10選

実際にVRを活用した安全教育コンテンツとはどのようなものなのか。

事例を見ながらイメージを具体的にしてみましょう。

5-1.凸版印刷株式会社【印刷業】

印刷会社「凸版印刷株式会社」では「巻き込まれ体感機 for VR」を開発・導入しました。

従業員の安全意識向上が目的で、機械に巻き込まれた場合の体験ができます。
特徴的なのは、VR映像を見るだけでなく、研修用機械で巻き込まれた際の感覚を体感できること。

事故の重篤度と安全作業の大切さを学べます。

5-2.株式会社興和【建設業】

株式会社興和 安全研修

株式会社興和のVR研修コンテンツは、VRtipsの運営元であるリプロネクストが担当いたしました。

若手社員への研修として活用しており、どんな場所で作業するかを事前に知ることで従業員の意識向上に役立てています。

現地は遠方にあり、以前は研修現場までの交通費や移動時間がかかっていましたが、VR研修を導入してコストを大幅に削減。効率的な研修の実施に成功しました。

5-3.セコム株式会社【警備業】

セコム株式会社
出典:セコム株式会社

警備会社の「セコム株式会社」は、警備業界としては初めてVR研修を導入しています。「煙が充満した空間での避難誘導」といった火事現場を想定し、もしもの危険シーンを事前に体験し、社員の危機管理力の向上に繋げています。

VR研修導入前は準備にコストがかかること、そして危険性が高く体験できませんでした。

危険が含まれる訓練は、VRを使った疑似体験だからこそ安全に行うことができます。

5-4.東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)【鉄道業】

東日本旅客鉄道株式会社
出典:ソフトバンク 導入事例ページ

「東日本旅客鉄道株式会社」では、鉄道の三大労災といわれる「触車」「墜落」「感電」のうち「触車」と「墜落」に関する4つの事故をVRで再現。

重大事故を疑似体験することで危険性を再確認し、社員の安全意識が高まるような研修を行いました。

VRを活用したことで集合研修を行う必要がなくなり、それぞれの職場で疑似体験ができるようになり、効率も上がりました。

5-5.ヒューマンライフケア株式会社【介護事業】

ヒューマンライフケア株式会社
出典:ヒューマンライフケア株式会社 PRTIMES

「ヒューマンライフケア株式会社」は介護事業を展開しており、VR研修にも力を入れています。

介護スタッフを対象に行なっているVR研修では、危険な場所を探す訓練を実施。

介護現場で事故が発生した場合に適切な対応ができるように、現場での事故予防や社員の育成に努めています。

5-6.坂田建設株式会社【建設業】

坂田建設株式会社
出典:坂田建設株式会社 公式サイト

総合建設業の坂田建設株式会社は、2017年よりVRによる事故体験・安全教育を活用し、職員や作業員の労働災害の抑止に努めています。

同社の場合、自社でコンテンツを開発するのではなく、VRの機材とコンテンツを全て必要な時にレンタルし、低コストで導入を実現しています。

「土砂崩壊災害」「墜落災害」など、事故のきっかけを被災者の視点で体験することで一人ひとりの安全意識を高めています。

5-7.北陸電力株式会社【電気事業】

北陸電力株式会社は、配管工事の危険体感システムを開発しました。使う際にはVRゴーグルに加え、触覚再現グローブを装着することでリアルな災害現場を再現しています。

手順通りでない作業を行った際にどうなってしまうのか、痛覚も含めて研修することでより臨場感のある研修になっています。

5-8.大阪市消防局【公務】

大阪市消防局では、市民の方への火災予防の普及啓発を目的に「避難体験VR」を導入しました。火災現場は災害状況の再現が困難なことや、実際の避難訓練を行う際にも広いスペースが必要だったりという課題がありました。

VRを活用することで、火災空間でどのように身を守れば良いのか、能動的な訓練を省スペースで実施できています。

5-9.菅野建設工業株式会社【建設業】

菅野建設工業株式会社は、労働災害の低減を目的に「危険体感実施センター」を設置。

様々な危険体感装置がある中で、リアルな体験が困難な「土砂崩壊」「足場からの墜落」などの装置に、VRを活用しています。

VRで危険性を知ってから、他の体験設備を合わせて経験することで、より印象深く学べる仕組みを整えています。


今後は、重機巻き込まれ体験など、新たなコンテンツ追加も構想しています。

▶︎▶︎菅野建設工業株式会社 公式サイトはこちら

5-10.ニューヨーク市警察【公務】

最後は、海外の導入事例です。ニューヨーク市警察のテロ対策部門は、現実では再現不可能な犯行現場をVR内に作り、実践的な訓練を実施。数百人の警察関係者が訓練に参加したそうです。

このプログラムは、警察官の射撃技術や交渉力等の評価ができ、結果を踏まえてフィードバックするということも可能です。

一瞬の判断が求められる警察官だからこそ、リアルな体験研修が業務への意識向上に繋がるでしょう。

6.安全教育×VRコンテンツ制作の流れ

最後に、VRを活用した安全教育コンテンツの制作の流れをご紹介します。

制作会社によって異なる部分もありますが、リプロネクストの場合は下記のような流れになります。

6-1.ヒアリング

まずはVR安全教育を導入する目的や研修内容、受講者の情報などをヒアリングいたします。納期や予算などもお伺いし、お客様のニーズに合わせた準備を進めます。

具体的なイメージが定まっていなくても、ヒアリングの中でCGが良いか、実写がよいのかまでをご提案いたします。

6-2.企画・ロケハン

VR安全教育コンテンツの構成をプランニングします。お客様とイメージを擦り合わせながら、撮影前に具体的なイメージを形にします。撮影前に、ロケハンに伺う場合もございます。

6-3.撮影

事前に決めたスケジュールにて、撮影を進めていきます。VRコンテンツの場合は、専用の機材で撮影します。CGなのか実写なのかで、撮影の内容は変わってきます。

6-4.編集

撮影した映像を編集します。必要に応じて、テロップやナレーションなどを入れます。

CGの場合も、3DCGデータを編集していきます。

6-5.納品・公開

プレビューを確認いただき、修正等を経て納品・公開となります。

納品方法はMeta Quest 2などのVRヘッドセットや、データ納品などご要望に合わせてお渡しします。

また、ご希望に応じて従業員向けの体験マニュアルや動画の制作も可能です。

7.まとめ

安全教育にVRを導入することで、受講者は危険に対する感覚を体で記憶することができます。

また、安全は確保された状態でリアリティのある研修を実施できるので、企業側も安心して活用することが可能です。

「社員の安全意識を高めたい」「これまでの訓練と質を変えたい」とお考えの方は、導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

VRtipsを運営しているリプロネクストでは、安全教育におけるAR/VRやメタバース活用について企画から開発までサポートしています。「こんなコンテンツは作れるだろうか」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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