- 2022/07/26
- 2024/04/11
建設業界のVR活用事例10選!建設現場や建設機械、安全教育など
メタバースへの注目度の高さからも感じ取れるように、私たちの日常へ浸透しつつあるVR技術。ゲームや動画などのエンタメ関連だけでなくビジネスシーンでの活用も進んでいます。最近では建設業界でも導入が進んでおり、業界の転換期を迎えています。
今回は建設業界でVRを活用するメリット・デメリット、そして実際の導入事例をご紹介します。
建設業界を課題解決へと導くVRの可能性を見ていきましょう。
目次
1.建設業界がVRを導入する意味とは?
VRはバーチャル・リアリティのことで、仮想空間で疑似体験をすることが可能です。そんなVRを建設業界に導入することで、まずは作業員の研修や安全性向上に活用することができます。
現場に出る前に作業を疑似体験できるため、従業員はケガなどのリスクなく、具体的なイメージを持って働くことができます。さらに企業側は、一度VRコンテンツを制作すれば何度でも活用できるので、研修コストの削減や指導者不足の課題解決にも繋げられるのです。
次に、設計のシーンでもVRが役立ちます。設計現場を3D化して再現できるBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)にVRを導入することで、原寸大の設計の中に入り込むことが可能に。360°見渡し、細部まで構造をチェックすることで、設計ミスの発見が簡単になります。
このように、二つの観点からVRは建設業界の課題解決に貢献していて、まさに「建設革命」と言えるでしょう。
2.建設業界がVRを導入するメリット
それでは、建設業界×VRのメリットについて詳しく見ていきましょう。
- イメージを共有しやすい
- コスト削減につながる
- 安全性が高い
- 業務効率化につながる
2-1.イメージを共有しやすい
まず一つ目は、お客様に向けて設計後のイメージを共有しやすいということ。
専門知識がないと図面や言葉で説明を受けても、完成後のイメージはなかなかしづらいものです。そんな時に、VRであればその場にいるように空間を体験できるので、お互いにイメージを共有しやすくなります。
また、従業員同士でもイメージを合わせることができるので、認識の差を解消でき、業務をスムーズに進められます。
2-2.コスト削減に繋がる
建設業界で現場研修を行う際、移動や準備に時間やお金が必要です。
しかしVRを活用することで、どこにいても何度でも繰り返し体験できるので、それらのコストを大幅に削減することができます。
もちろん、導入にあたり初期費用がかかってしまいますが、ランニングコストはかからない場合がほとんど。VR研修はコストパフォーマンスの高いツールといえます。
2-3.安全性が高い
建設現場には高所をはじめとした危険を伴う場所もありますが、VRを活用すればそのようなリスクなく研修が行えます。まずはVRで理解を深めてから、実際の現場へ移るというステップを踏んだ研修が可能になります。
また設計ソフトを組み込むことで、現場の確認をすることもできます。足場を組んだ際にどこが危険か、どのように作業を行うかなど、事前に確認・共有することで新人従業員だけではなく、全ての従業員の事故防止効果に繋がります。
2-4.業務効率化につながる
現場ではなく、VRを使って会社内で安全研修ができたり、指導員を付けずに体験をしてもらえることから業務の効率化にも繋がります。
また、”体験”を伴ってイメージを共有することで理解スピードの向上にも繋がり、今まで時間をかけて伝えていた部分も時間短縮ができるでしょう。
3.建設業界がVRを導入する上でのデメリット
建設業界がVRを導入するうえでのデメリットをご紹介します。
- 初期費用や準備が必要
- VR酔いが生じることも
3-1.初期費用や準備が必要
VRコンテンツを活用する際には、準備や導入費用がかかります。
3DCGでイチからプログラムを作る場合と、実写のVR動画の場合でも大きく費用は変動します。
また、視聴デバイスもPCやスマホにするのか、VRゴーグルを活用するのかでも大きく変わってくるので、まずは依頼する企業に見積りをもらうと良いでしょう。
3-2.VR酔いが生じることも
VRゴーグルを利用し、仮想空間に没入するようなコンテンツの場合、長時間使用すると乗り物酔いと似たVR酔いになってしまうことも。
VR酔いにも個人差はありますが、様々な方が利用するコンテンツの場合は視聴・体験時間も考慮することが大切です。例えば、研修用のVRコンテンツであれば、10分のコンテンツをいくつか制作して、分けて体験してもらうという工夫もできます。
VRを視聴・体験する人の立場になって、制作することを意識しましょう。
4.建設業界におけるVRの活用法
建設業界におけるVRの活用法をご紹介します。
- お客様とのイメージの共有
- 設計・現場の確認
- 研修・教育に活用
4-1.お客様とのイメージの共有
どんなものでもそうですが、設計時のイメージと完成後のものにズレを感じてしまうことがあります。「思っていたものと違った」というのは、お客様にとって残念なことですし、建築業界の方にとっても解消したい問題ではないでしょうか。
このイメージのズレを解消するために活用されているのがVR。
写真や動画でイメージを共有するのではなく、VRで「リアル」を届けることでイメージがしやすく、完成後のギャップも解消します。
4-2.設計・現場の確認
「イメージのズレ」というのは、お客様との間にだけあるものではありません。
共に作業をする従業員間にもイメージのズレというのは生じてしまいがちです。経験によっても理解度・認識が異なり、言葉の受け取り方も人によって様々。これがイメージのズレに繋がります。
イメージのズレは、連携作業の多い建築業界では大きなリスクとなります。そこで活用されるのがVR。
VRで完成後を立体的にイメージすることで、事前に共通認識を持つことができ、スムーズに業務が進められるでしょう。
4-3.研修・教育に活用
どの業界でもそうですが、「経験」は重要ですよね。特に危険と隣り合わせにある建設業界は、危険を察知するためにも、経験の重要性がより高くなります。
しかしリスクなしに経験というのは積みにくいもの。こういったときに活用されているのがVRです。VRは仮想空間に没入することで限りなく、現実に近い体験をすることができます。
何より、見て、聞いて覚えるよりも、体験する方が体は覚えていくものです。現場に出る前にVRでリアルに近い研修・教育ができれば、効果的ですね。
5.建設業界のVR活用事例10選!建設・工事現場、安全教育など
ここからは、VR×建設における10社の活用事例を紹介します。
- ラストマイルワークス株式会社
- 株式会社明電舎
- 株式会社積木製作
- 大成建設株式会社
- 株式会社NECソリューションイノベータ
- 株式会社つくし工房
- 株式会社大林組
- 大和ハウス工業株式会社
- 西松建設株式会社
- 株式会社興和
5-1.ラストマイルワークス株式会社
ラストマイルワークスのソーシャルVRサービス「comony homes」では、パノラマ写真やCGを基にして3D空間の制作とシミュレーションサービスを行っています。メーカーから購入できる家具をバーチャル空間に置いたり、部屋の構成を立体的に見ることができます。
また、作成したデータは誰とでも共有可能なため、顧客と不動産業者との情報交換が簡単になります。
モデルハウスを顧客に体験してもらいたい場合や、新たな広告事業を行いたい企業にはオススメです。写真よりも実際に住むイメージがしやすいので、お客様への安心感・納得感にも繋がります。
▶︎▶︎ラストマイルワークス株式会社の公式ホームページはこちら
5-2.株式会社明電舎
建設業界では毎年300人以上もの尊い命が失われています。明電舎では実際に現場で働く従業員に対して「出張安全体感教育」と称し、労働災害の恐ろしさを教育しています。
この企業では「安全体感車」が全国に出張し、建築会社に出向いて研修を行っています。
作業員がVRゴーグルと専用リモコンを使用し、作業現場で起こりうる危険災害を擬似体験。実際に体感することが難しい建物からの墜落や、火花散布によるヤケドなどの災害もVRによって体感可能です。従業員の安全意識を向上させたい企業には有効な研修といえるでしょう。
▶︎▶︎明電舎の公式ホームページはこちら
5-3.株式会社積木製作
積木製作はVR研修や空間デザイン、プロモーション開発などの分野におけるVR技術が強みの企業です。
中でも積木製作が開発した「VROX」は、建築や不動産に特化したVRシステムです。タブレット端末を使用して間取り図を覗き込むと、実際の部屋が立体化された間取り図が表示されます。
さらに、顧客を現場に案内してタブレット端末をかざせば、工事途中の建物の完成イメージを見ることができる画期的なシステムです。
これまでは平面の図面が中心でしたが、今後は顧客からも視覚的に分かりやすいタブレットを用いた図面の普及が進みそうです。
5-4.大成建設株式会社
大成建設ではVR技術を使って重機を遠隔地から操縦するシステムを開発。作業員がHMDと呼ばれるVRゴーグルを装着し、手元のリモコンで操作を行います。
システムの凄いところは、遠くから操作しても実際に重機に乗っているかのような感覚で操縦できること。重機の左右に設置した特殊な魚眼カメラにより、対象との距離感や奥行きを把握することができます。
システムの普及が進めば、実際に従業員が現場にいなくても工事を進められますね。
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5-5.株式会社NECソリューションイノベータ
NECソリューションイノベータでは「人材育成」「事故発生防止」「現場体験」など、あらゆるVR技術を提供。
建設現場をVRで再現し仮想空間で研修を行うことにより未然に事故を防いだり、作業前点検の重要性を再確認できます。また、バーチャル空間で3次元モデルを作ることで、各工程で問題点を指摘し合い、早急に解決を行えます。
NECソリューションイノベータは、VRコンテンツの導入から製作まで幅広く支援していることが魅力です。
▶︎▶︎NECソリューションイノベータの公式ホームページはこちら
5-6. 株式会社つくし工房
株式会社つくし工房は、工事現場で起こりうる様々な事故の事例をVRの仮想空間で再現し、事故体験・安全教育VRを制作しました。
従業員は被害者の目線で事故を擬似体験することができ、より工事現場災害・事故への防止と意識が高まります。
どういった場面で事故が起こるのか、リスクなしに身をもって知り、安全意識を高めることができるのは、VRならではのメリットですね。
5-7.株式会社大林組
株式会社大林組では、数年前から建設現場における鉄筋配置の不具合防止など管理技術の伝承を目的とした体験型研修を行っています。しかし繰り返し受講するには不向きで、コストや時間もかかっていました。
そこで活用されたのがVR教育システム。VRを活用することで場所を問わずに、手軽に教育を実施することができます。またBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)データを活用できるため、様々な教育ツールを容易に制作が可能。
多様な研修を体験できるので、従業員にとっても効果的な研修になるといえます。
5-8.大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は住宅展示場内を360°見渡せる360°バーチャル展示場を制作しました。
バーチャル展示場はオンライン上で開催されるため、場所や時間、天候の制約を受けません。そのため、ユーザーはいつでも、どこでもバーチャル展示場に参加できます。
またバーチャル展示場は、オンライン上で活用するだけではなく、ユーザーとの打ち合わせの際にも活用できるツール。リアルリティに特化したVRは、ユーザーにとっても住宅のイメージが掴みやすくなるので、営業のツールとしても効果的です。
▶︎▶︎大和ハウス工業株式会社
5-9.西松建設株式会社
西松建設株式会社では、2018年にBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)推進室を立ち上げ、「西松BIMシステム」の構築に取り組んでいます。その中で活用されているのが、VRを導入したBIMです。
ユーザーに建物のBIMのデータをもとにしてつくったVRを見てもらうことで、ユーザーから積極的に具体的な要望を出してもらえたそう。ユーザーとの仕上げ確認以外にも、作業の事前確認等にもVRを活用しており、BIMとVRの可能性はまだまだ広がりそうです。
5-10.株式会社興和
最後に「株式会社興和」の事例をご紹介します。こちらは、VRtipsの運営元・リプロネクストが制作を担当させていただきました。
こちらのVRコンテンツは、若手社員への事前研修として活用しており、事前にどういった場所で作業するかを知ることで従業員の意識向上に役立てています。以前は遠方の現場で研修を行なっていたことで交通費・時間がかかっていましたが、VRを活用してコストを削減したことで、研修の効率化に成功しました。
6.まとめ
建設業界においてVR技術は、作業員の安全意識向上や重機の遠隔操作など、幅広く活用されています。また、ユーザーの視点でも家に居ながらモデルハウスを見られるなど、顧客と企業側との情報交換が変化しつつあります。
今後ますます普及してくるであろうVR技術。建設業界でのVR導入は一つの転換期といえるでしょう。
ぜひ、業務の改善を行いたい企業の方々はVR技術の導入を考えてみてはいかがでしょうか。
VRtipsを運営しているリプロネクストでは、建設業界のAR/VRやメタバース活用について企画から開発までサポートしています。「こんなコンテンツは作れるだろうか」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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